HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

世界から遮断、孤島になったマーシャル

コロナウイルスの影響で、マーシャルを発着する国際線がなくなってしまった。ナウル航空は3月13日のフライトを最後に運航停止で再開は未定、ユナイテッド航空は3月20日のグアム行きのフライトを最後に、5月3日までは運航停止(ただし4月に1便だけ運航予定)。3月20日以降、マーシャルに人がアクセスする手段がなくなり、太平洋の孤島となってしまった。しかし、貨物機とコンテナ船は動いているので、物流は止まっておらず、人々はパニックになることもなく、落ち着いて暮らしている。


マーシャルでは、3月8日から、厳しい入国制限をしている。海外からの入国は一切禁止、自国民であるマーシャル人ですら入国禁止。それは、14日間の隔離ができる施設が島にないし、自宅で隔離することは、大家族で一つの家に暮らすスタイルが大半のマーシャルでは不可能だから。ハワイやグアムで3月から足止めになってマーシャルに帰れないでいるマーシャル人は、どうしているのだろうか。マーシャル人同士で助け合っているのだろうか。政府は、マーシャルにいる人々をコロナウイルスから守ることを最優先にしているので、決断は迷いなく、早い。保健省からの発令は即日発動なので、もう急に「明日から誰も入国できません」という具合である。


ユナイテッド航空がアイランドホッパーの定期便からマーシャルを外すと発表したのも、急だった。その直前に、グアムからのアイランドホッパー定期便がマジュロで機材故障によりストップ。ハワイへ行く乗客は、翌朝に代替機が来るまで12時間マジュロで待たなければならなくなった。通常であればマジュロのホテルに移動して過ごすことができるが、現在は入国禁止になっているので海外からは誰も入国できない。乗客が空港のターミナルや待合室を利用することも、マーシャル政府は断じて許さなかった。乗客の中に感染者がいるかもしれないのに、何時間も空港の待合室やトイレを利用されるのは危険と判断したからだ。乗客とクルーは、飛行機の中か、降りて外の滑走路のエリアで一夜を明かした。その一件がユナイテッド航空のご機嫌を損ねることになったのか、翌日にマーシャルはアイランドホッパーから外されることになった。国営のマーシャル航空は、プロペラ機を2機所有しているだけなので、最寄りの先進国ハワイまではとても飛べない。自国の国際線を持っていない島国は、非常時にはこういうことになるのかと、弱さが浮き彫りになったように感じる。


でも、これまでの厳格な対応のおかげで、3月24日現在もマーシャル国内の感染者はゼロ。政府の厳しい予防策は、ユナイテッド航空との一件も含めて概ねみんなに評価されている。学校は、いま春休み中。マーシャルはもう世界から隔離された島となっているので、このまま無事に過ぎ去り、早く世界の人々に日常が戻ってくることを願っている。

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