HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

学校標語、理想と現実

ハルが参加しているミュージカルの練習場所が、マーシャルにある公立高校。毎日車で送り迎えするために私も通っている。駐車場で練習が終わるのを待つ暇な時間に、目の前に貼ってあった学校の標語をじっくり読んでみた。
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高校の正門のフェンスには、標語が看板になってたくさん貼ってある。道路に面している外向けの標語は、こんな感じ。

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「あなたがしない限り、夢はかなわない」「神と共にいればすべてのことが可能である」


でも、校内から読める内向けの標語は、だいぶ変わって切実な内容の標語になっている。

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「自分の飲み水を持ってきてください」「毎日学校に来てください」

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「あなたが今日できる最も大事なことは、教室に行くこと」


内向け標語を読むと、この学校の先生たちの苦労をお察しする。まさに看板の表面と裏面に、学校の理想と現実が表れていた。小学校から学校に行かなくなる子もいたり、中学・高校を中退してしまう生徒も多いマーシャル。これは日本の不登校とは、また違う問題。一度中退したあと大人になってから高卒資格を取れるような学校も制度もないので、そういう人はずっと低賃金の職しか見つけられない。18歳以降は家族のために働く必要もでてくるので、もう学校どころではなくなってしまう。大人になってから、中学や高校を中退したことを後悔している人もいる。


どうにかしてあげたいと思っても、私にはマーシャルの大きな教育問題を解決することはできない。でも一歩踏み出して、身近なところで子供たちの背中を押してあげたり、手をひいてみたり、学びのチャンスを増やしてあげることはできるはず。そして、それこそが我が子を温かく育ててくれているマーシャル社会に対する恩返しになると思っている。