HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

マーシャルのミュージカル

ハルが昨年に引き続き、ミュージカルに参加している。マーシャルでは、年に1回本格的なミュージカルが上演されている。アメリカのNPOとマーシャル政府とのプロジェクトで、指導者の先生、ボランティアの大学生、振付師、プロデューサーがアメリカから来て、マーシャルの学生を指導してミュージカルを上演する。マーシャルでは、市民のエンターテイメントとして定着したイベントになっていて、1週間の公演時には毎回会場が立ち見になる程お客さんがたくさん見に来る。

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昨年の公演「ミュージック マン」

出演者は2ヵ月間、毎日放課後にマーシャル諸島高校で練習して、3月に1週間の公演をする。マーシャルに住んでいる人なら誰でも出演できるけれど、オーディションを受けることと、毎日の練習に遅刻しないで来ることができる学生だけが、本番の舞台に立てる。ミュージカルはマーシャル語で上演。そうなると必然的に、各学校からまじめで優秀で、歌と踊りが好きで上手な明るい生徒が集まる。アジア系の子はセリフがマーシャル語の為かほとんど来ない。ハルは昨年初めて参加して、他校にいい友達がたくさんできて、とても楽しかったようだ。年上の高校生や短大生でも、日本のような学年の上下関係がないから、普通にファーストネームで呼び合う友達になって、おしゃべりしたりしている。


指導してくださる先生はアメリカのダートマス大学の教授で、みんなから「プロフェッサー」と呼ばれている。厳しい先生で、練習では遅刻・私語厳禁。マーシャルでこんなに厳しい先生は見たことがない。でも、そのくらいの厳しさがないと2ヶ月で学生たちをまとめてミュージカルを作り上げることはできないと思うし、その指導にみんなついてきている。マーシャルの学生だからと指導レベルを下げたりしない先生。それが毎年、マーシャルの子供たちに非常にいい経験と成長をもたらしている。ここ10年以上、このプロジェクトに携わって毎年マーシャルを訪れ、学生を指導してミュージカルを上演しているプロフェッサー。その功績が称えられ、感謝のしるしとして昨年大統領からマーシャルの市民権が授与された。


プロフェッサーが連れてくるボランティアの大学生も、ダートマス大学の学生。アイビーリーグの大学生で、教授と一緒にマーシャルに2ヶ月間のボランティアに来るぐらいだから、こちらも優秀な大学生に違いない。20歳ぐらいなんだけど20歳に見えないような、礼儀正しく、きちんとした大人みたいな学生がくる。ハルは、マーシャルや日本では会う機会もないような先生や大学生と、マーシャルの優秀な生徒たちと一緒に、ひとつのミュージカルを作り上げるという貴重な経験をさせてもらっている。今年の演目は「回転木馬」。私も3月の公演が今から楽しみだ。

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たくさんの観客がいた昨年の会場