HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

ミルクフィッシュ

マーシャルに住んでいると、日本では食べたことがないような魚をもらってきて、家でなんとか料理して食べることがよくある。初めての魚でも、たいていは「ブダイの仲間」「赤魚系」「アジの仲間」「中型魚ハタ系」「小型白身魚(リーフフィッシュ)」という具合に自分の知っている魚の系統に分類できるのだけれど、たまに分類できない魚のときもある。小型の魚なのにウロコがなくて、そのかわりに皮が鎧のように堅い魚とか、内臓が異様に臭くてさばくときに破いてしまうとヘドロのようなものと臭いがすごい魚など、料理する側としては厄介な魚だ。
この前、英語名でミルクフィッシュという魚を、お友達のママからおすそ分けしてもらった。カツオ漁船がクリスマス島キリバス)の近くで獲った魚だそうだ。たぶん日本では食べないし、売っていない種類の魚。マーシャルでは、スーパーの冷凍庫の片隅で丸ごと冷凍されて売っているのを見たことがある。フィリピンでは庶民的人気のある魚らしい。「クリスマス島のミルクフィッシュ」。その響きだけは、なんだかかわいらしい感じがするけれど、残念ながら全くそんなことはなかった!このミルクフィッシュも分類できないタイプの、異色の魚だった。中型魚ぐらいの大きさなのに細長い骨がたくさんあり、しかも普通この部分に骨はないだろうというところに、細い針のような骨がボサッとある。切り見にすると、一見臭みもなく扱いやすそうな感じなのに、火を通したらわりと臭みが残り、身はパサパサしがちで脂身のないサバのような魚だった。
最初は醤油で煮魚にしたけど、独特の臭みを感じるしパサつくし、不向き。2回目は醤油としょうが汁に30分以上漬けてから片栗粉をまぶし、竜田揚げにして甘酢をかけてみた。煮魚ほどではないが、まだ臭みとパサつきがあった。3度目の調理では、フィリピン流にやってみることにした。フィリピンの料理といえばアドボ。材料を酢の調味料に漬けてから、煮たり炒めたりする料理。フィリピンではミルクフィッシュも酢に1晩以上つけてから揚げるらしい。ミルクフィッシュの切り身に塩を多めに振り、酢と一緒にジップバッグで1晩漬けた。それを油でじっくりと素揚げし、仕上げにライムをかけてみた。気になる臭みがこれで消えるかと思いきや、臭みとパサつき健在!かなりの頑固者。魚の臭みに敏感な私はダメだったけど、子どもたちや介は、「そんなにおいしくないけど食べられる」と言っていた。いろいろ試してみたけど、煮ても焼いても"おいしく"喰えない魚だった。たぶん、鮮度の問題なのかもね…。


↓下ごしらえで酢に漬けたミルクフィッシュ

↓揚げた状態。見た目は普通の魚のフライだけど…。