HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

マーシャルでの子育て

生後4か月で日本からマーシャルに連れてきたハルカが、もう8才。マーシャルで子育てをしてきたこの8年を振り返ってみる。マーシャルでの子育ての実際は、実家も遠く離れているから助けてもらうことはできないし、乳幼児を預けられるところもないし、児童館や公園がないから子連れママ同士の出会いもない。日本人ママが住んでいた時期もあったけれど、基本的にいないので昼間の気楽な話し相手もいない。幼稚園に入るまで、私から3時間以上離れたことはなかったほど、母と子でべったりな日々。この事実だけ書くと、息詰まるような孤独な子育てみたいだけれど、実はそうではないのがマーシャルという南の島の不思議なところ。なんというか、島全体が子どもを育ててくれるような気がするのだ。
まず、マーシャルではどこに行っても、子連れが邪魔者扱いされることがない。むしろ笑顔で歓迎されたり、話しかけられたり、抱っこで買い物に行けばお店のドアを押さえてくれたりという親切を、一人でいるときより多く受ける。国の人口の36%が15才未満という国(ちなみに日本の場合は13%)だから、とにかく子どもが多くて、老いも若きもみんな小さい子どもの扱いに慣れている。「子どもの声がうるさい」なんて話は聞いたことがない。子育てをするのにこれほど周囲の視線が優しい環境は、東京ではありえない。
次に、子どもを預けるところはないけれど、万が一困ったときは、知り合いのマーシャル人に子守を頼めば引き受けてくれると思う。時給を3〜5ドルも出せば、ベビーシッターだって見つかるはず。助け合う文化の国だから、困っている人を必ず助けてくれる親切な心の広い人が多い。実際に子守を頼んだことはないけれど、本当に緊急事態のときはその手段があると知っているだけで、気持ちは軽くなる。あと、父親の介は仕事の残業もほぼなく、毎日夜7時半には家に帰ってくる。お昼休みも家に帰ってくるので、毎日朝・昼・晩、パパと一緒に食卓を囲むという生活。ご飯を作る人はちょっと大変なのですが、子どもは嬉しい。
最後に、海に囲まれた自然環境。空気もきれいだし、空はとても広い。豊かな自然に囲まれていると、それだけで心が穏やかになれる気がする。田舎は子育てにむいていると思う。日本に比べると多少不衛生な部分も、子どもの免疫力を強くしているような気もする。マーシャルの人々、在住日本人の方々、島、海、これらすべてにほんわかと見守られて、我が子を育ててもらってきたと感じる。まぁ実際には子どものお世話の大半は私がしたのだけれど(笑)。日本の少子化対策で、子育て支援の仕組みを整備するのも大事だけど、それ以上に社会全体がふんわり親子を包んでくれているような優しいまなざしが、日本にもっとあるといいなと思う。


↓公園はないけれど自然が遊び場!