HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

お祈り

マーシャルはキリスト教国家。1857年にアメリカから宣教師がエボン環礁に来てキリスト教が伝来。毎年12月の第1金曜日はキリスト教が伝来した日としてゴスペルデーという祝日になっている。1857年ときいても歴史に明るくない私はピンとこないが、日本史でいえば江戸時代幕末で1853年黒船来航、1858年日米修好通商条約の頃。現在もマーシャルはキリスト教徒がほとんどで、日曜日は教会へ行く。食事の前や、式典の前後にも必ずお祈りがある。

マーシャルの教会


先日、マーシャル人の小さな定例ミーティングに同席した。参加者は私含めて4名。そんな小規模だけど、ミーティングの前にお祈りがあった。お祈りはいつもマーシャル語で行われるので、詳しい内容はわからず、ただ目を閉じて聞いていることが多いけれど、今回は私に声を掛けてくれた先生が珍しく英語でお祈りを始めた。「私に気遣ってわざわざ英語でお祈りしてくれてるー!」と嬉しくなった。英語だとマーシャル語よりわかるので、お祈りの内容も理解できて「なるほど、いつもこういう内容なのか」と興味深く目を閉じて聞いていた。内容は主に、神への感謝。「今日はミカがこの場に来ています。神様ありがとう」的なことも言っていた。暗記している定型文のお祈りがされるのではなく、基本型をもとに毎回その人のオリジナルで祈りがなされるようだ。


その後もお祈りは続き、今日はいつもよりやや長めだなと思いつつ、目を閉じて聞いていたら、内容がミーティングの議題に移っていた。あ、もうお祈り終わった?と思い、薄眼を開けて隣をチラッとみると、まだ目を閉じている。私も慌てて再び目を閉じる。お祈りは続いていた。一つ一つ議題をあげて「いいアイディアが出ますように、どうぞ私たちをお導きください」とお祈りしていた。最後に「アーメン」と言ったら、お祈りは終わり。お祈りをしていた先生が「今日のお祈りはなんだか長くなっちゃったかしら。あはは。」とちょっと笑っていたので、やはり普段より長めだったようだ。たぶんマーシャル語でしているお祈りを今回は私のために英語でしてくれたから、調子が狂って長くなったのだと思う。


会社でもパーティーの食事の前に必ずお祈りをする。お祈り係となっているマーシャル人従業員が、代表してお祈りをする。従業員たちによると、あの人のお祈りはいい、とか、あまりよくない、とか話す内容で評価があるらしい。会社のお祈り係はあまりよくないよねーと陰で言われていた…。教会の牧師さんにも同じことがあるようだ。お祈りの内容、興味深い。こんな風に日常でマーシャル人が私の知らない世界を教えてくれるときが、マーシャルに住んでいてよかったな、面白いなあと思う瞬間だ。

お正月のおせち2023

あけましておめでとうございます!
元旦はマーシャル在住の日本人子連れ家族を家に招待して、みんなで新年会をした。やっぱり子供たちに日本のお正月を味わってほしいし、子供たちが集まってワイワイ楽しく遊んでいるのも、お正月らしくていい。


私はいつものように、おせちとお雑煮を作った。マーシャルでおせちは買えないから、全部手作りするしかない。でも自分が作りたくて好きで作っているので、全く苦にはならない。全部自分の好みの味付けで、食べたいメニューだけ作るからおいしいし、私の子供たちもおいしいと言ってパクパク食べてくれる。手間をかけて特別な料理を作り、それを元旦にみんなと食べたときの満足感がおせち作りの魅力。できたときの高い満足感があるから、おせち作りはやめられない。


おせちは、火にかけたり置いておく時間が単純に長い料理が多い。だから計画を立てて、30日から軽くスタートし、圧力鍋2つとフードプロセッサーを活用すること、娘のハルに助手として手伝ってもらうことで、2年前から大晦日の夕方にはおせちの準備が終わり、夜はゆっくり過ごせるようになった。自分がようやく作り慣れてきたことにも満足で、幸せな気持ちに。
2023年がみなさまにとってよい年となりますように!

おせち料理

<2023年のおせち>
黒豆・栗きんとん、田作り、海老、大根とニンジンのなます、煮しめ(しいたけ・昆布・ニンジン・こんにゃく)、豚のチャーシュー、手羽チキン醬油煮、マヒマヒの幽庵焼き、ムール貝オーブン焼き、ポテトサラダ、だし巻き卵、松前漬け、昆布巻きと数の子(日本から)、ちらし寿司、白いご飯
お雑煮(醤油とだしベースに鶏肉・大根・ニンジン・ほうれん草・餅)、おしるこ

学校で10歳の誕生日会

コウが10歳になった。ここ毎年、同じ誕生日のネイヤちゃんと一緒に、先生の了承を得て、クラスで誕生日会をしている。ケーキやピザを教室に持ち込みして、パーティーをする。ネイヤちゃんと合同の誕生日会はプリスクールから始まっているから、もう5回目ぐらい。学校は1学年1クラスなので、ずっと同じメンバーで一緒に大きくなっていく。

学校で誕生日会


毎年誕生日が近づくと、ネイヤちゃんママとメールで相談して、ウチはピザと飲み物と紙皿持って行くから、ケーキお願い、という感じで準備している。偶然同じ誕生日なので合同で誕生日会を始めたのだけど、お互いに開催の負担が半分になって結構ありがたい。普通は同じ誕生日の子がクラスにいることはないので、それぞれの家庭が我が子の誕生日会の用意を全部しないといけないから。
今年はなんと、同じ誕生日がクラスにもう一人いた。担任の先生!というわけで、クラスで3人の誕生日をお祝いした。


先生に時間を聞くと、午後2時から誕生日会を始めていいよ、とのことだったので、2時には教室に行き、ネイヤちゃんのパパとママも時間通りに来た。ネイヤちゃん家族のいいところは、我が家と同じくちゃんと時間通りにすべて準備して、教室に来られるところ。昨年PTAやっていたからわかるのだけど、アイランドタイムで他のマーシャル人の親たちは15分~30分遅れは当たり前なので、時間通りに行かないと逆に落ち着かない日本人的性格の私は、自然と待たされることが多い。ウチもネイヤちゃんのところも、途中で仕事を抜けて学校の誕生日会に来ているので、時間通りに始められるのもお互い助かっていると思う。


誕生日会では、先生が教室の机をパーティー仕様にレイアウトしてくれる。最初にみんなで誕生日の歌を2曲ぐらい歌ってから、ケーキのろうそくを吹き消して、あとはパーティータイム。仲良しの子から誕生日プレゼントをもらうこともある。ピザやケーキをみんなで食べたら、Goody Bagと呼ばれるお返しプレゼント的なものをクラスみんなに配る。教室で嬉しそうな子供たちを見ていると、こちらも自然と笑顔で幸せな気持ちになる。

今年はTikTok誕生日ケーキ。実はカップケーキになっているから、取り分けが便利。

ケーキを用意してくれたネイヤちゃんママが、先生の分のケーキも別に1つ用意してプレゼントしてくれた。先生はコーヒー好きらしので、私はMJCCで買った小岩井カフェオレを1本プレゼント。先生も喜んでいた。いつもお世話になっている先生の誕生日も一緒にお祝いできて、よかったと思う。
お誕生日おめでとう、コウ、ネイヤちゃん、先生!!

クラスの子と遊ぶ

病院犬

今年もまたビザ更新の時期がやってきた。マーシャル国籍でない人が長期滞在するためには、毎年ビザ(滞在許可証)を更新が必要となる。更新と言っても、新規申請と同様の書類を集めて提出しないといけないので、けっこう大変だ。用意するのに時間がかかる書類が、健康診断書。マジュロの病院で健康診断を受けて、書類を作ってもらう。ビザの更新には、結核の陰性証明とHIVの陰性証明も必須なので、そのために毎年ツベルクリンの注射をうけている。


最近はビザを更新する外国人が増えているのと、パスポートを申請するマーシャル人も健康診断書が必要だそうで、病院は混んでいる。しかも健康診断とツベルクリン注射の受付は、現在毎週月曜と金曜だけ、先着15名のみ。最初、火曜に病院に行ったら「金曜に来て」と言われた。

日本のODAで建設されたマジュロ病院

出直して金曜の朝に病院へ行った。受付開始時間が午前8時半だと思っていたら、8時からだったらしい。8時半に受付へ行ったら「今日の分は定員に達したので、もう受付終了だよ。月曜に来るように。」と言われた。ええー!そんなあ~と、家族4人でガッカリしていたら、救世主が現れた。どこかで私たちの様子を見ていた看護師さんが気の毒に思ったのか、「あなたたち4人だけよね?今日できるかどうか聞いてあげるわ」と言って、直接担当の人に聞きに行って交渉し、OKをもらってきてくれた。これは本当にありがたかった。お店のお客さんだったようで、私たちが日本人というのもわかっていたようだ。親切な看護師さんに感謝。


金曜にツベルクリン注射を受けて、月曜に注射跡をみてもらい判定。月曜は朝8時に病院へ行った。しかし、診察して診断書を書く担当の先生が出勤してこない…。先生待ちの患者が20人程いて、看護師さんたちも困り顔。先生が10時過ぎ頃にやっと来て、それから急ぐことなくゆっくりと診察が始まった。順番は早く来た順ではなく、山積みの書類の上から順に適当に呼ばれていった。私たちは前回、特別に最後に入れてもらったので、書類は一番上に置いてあり、すぐに診察に呼ばれた。ラッキー!こうして無事に健康診断書を取得できた。


病院の外廊下で私たちが待っているときに、周囲を自由に散歩していたイヌがいた。病院で飼われている様子。番犬というより、人懐っこい犬の放し飼い。

診察を待ってる人たちに愛嬌を振る
どーんと通路の真ん中に座る
人が来ても、どかない
眠くなってきて
寝ちゃった


この子たちは病院犬というのかな?そんな存在のイヌっているの?と思い、「病院犬」と検索してみたら、ミカという病院犬が有名だったので紹介します(笑)。当ブログの病院犬とは無関係です。



ずっとずっと、ともだちだよ… 病院勤務犬・ミカの物語 (ノンフィクション・生きるチカラ)

公立小あれこれ

朝8時ごろに車で家から街へ向かうと、ちょうど学校が始まる時間に小学校の前を通ることになる。一本道の道路沿いに建つ公立小は、よく見ると学校によって雰囲気が違う。


家の近くのロングアイランド小は、朝8時過ぎには既にピンク色の制服を着た生徒が大勢登校していた。クラスごとに整列を始めていて、朝礼がもうすぐ始まるところだ。ここは近頃、先生が厳しいと評判で、会社の従業員の子供は「先生が怖くて意地悪だから」と別の小学校へ転校したほど。


少し先にある緑色の制服のライロック小では、8時過ぎに登校している生徒はまばら。もちろん整列もしていないので、先生もまだ出勤していないのかもしれない。従業員の子供の転校先はここライロック小へ転校した。確かにこの学校は厳しくなさそうだけど…。


最後に、街にある黄色の制服のデラップ小。こちらも先生がしっかりして、学力レベルが高いと評判の小学校で、わざわざ遠くから通う生徒もいる学校。生徒数も多い学校だ。それなのに、校門に鍵がかけられていて休校状態だった。

デラップ

生徒も一人も来ていない。あれ?もしや…と思ったら、学校の地主と揉めていて、地主の要求する借地代を教育省が払っていないため、地主が校門に頑丈な鍵をかけて学校が使えないように先生と生徒を強制的に締め出していたのだ。ひどい話。デラップ小は数年前にも同じ問題が起こっている。早く子供たちが学校に通えるようにしてほしいと思う。

ロックされた門

英語が話せなくても

いろいろ用事があって帰りが遅くなった日、街のスーパーK&K近くにある、餃子がおいしいと評判の中華レストランで、夕飯用に餃子をテイクアウトすることにした。中国人夫婦が経営している小さな店だ。店内に入ると、シェフのおじさんがいた。私が「テイクアウトしたいのですが」と言うと、おじさんは聞き取れなかったようで、「ピザ??」と返された。いやピザじゃなくて”Takeout”と何回言っても、おじさんの返事は「ピザ??」。私、中華レストランでピザを頼もうとは思ってないからっ!と心の中で言いつつ、Takeoutを伝えるのは諦めて、メニューから指差しで注文しようとしていたところ、奥からおばさんが出てきた。おばさんは英語が通じるので、向こうから「テイクアウト?それとも店内で食べます?」と聞いてきてくれた。


海外にいると、日本人と同様に英語が母国語でない人もたくさんいて、英語が下手な人もいる。彼らはたとえ英語が下手でも気にする様子はなく、むしろ堂々と自分の母国語で話してくる人もいるくらいだ。それに比べると、日本人は「私の英語は下手で、すみません」と、わざわざ謙遜して英語で謝ったりする人もいる。そんなこと謝らなくていいのに!と思う。自虐的に自分の能力低いアピールなんて、初対面でしないほうがいい。発音はネイティブ並みじゃないし、英語がぎこちないかもしれないけれど、自分の母国語じゃないのだから仕方ない。聞いている相手だって、なまりのある英語だな、もしくは英語苦手なのかなという程度に思っているだけのはず。「勉強不足のせいで英語が上手くなくて申し訳ない」という日本人らしい謙遜、もしくは最初に言っておけば自分が安心なのかわからないけど、わざわざ外国人に伝えなくてもいいと思う。そんなことは気にせず、持っている英語力を駆使してその場を乗り切るのみ!


マーシャルの公用語はマーシャル語と英語なので、マーシャル人は二ヵ国語を話す人が多い。マーシャル人にも英語は外国語なので、ここで英語を話すのは気楽なのだけど、英語ネイティブの外国人と話すと、自分が幼稚な英語を話しているような感じがして、引け目を感じることもある。容赦ない早口おしゃべりの人とかね。こんなとき、この人と堂々と対等に話せる英語力にレベルアップしたい!と思うけど、そうなるには地道に勉強しないとダメだというのもわかっている。語学に王道なし。


日本だと、英語が話せる=頭がいい、という図式を思い浮かべがちだが、英語がペラペラでも中身のない人はたくさんいるので、大事なのは話の中身だと思う。これも英語が母国語でない人の方がわかってもらえる率が高い気がする。

世界から2年半遅れて、ついにコロナ上陸

コロナ市中感染ゼロを2年半キープしてきたマーシャルだったが、2022年8月ついにコロナが島に上陸。やっと10日間の隔離生活を終えて、私たちが首都マジュロに戻ったその日に、海外渡航歴のない市民のコロナ感染が病院で見つかり、一夜にしてマーシャルの様子もコロナ禍に様変わりした。

コロナ感染者数ピーク時の、静まりかえった街中


市中感染が出たというニュースは、政府の発表前に瞬く間に島中に情報が伝達された。ハルが友達のSNSから「コロナ発生したらしい!」といち早く情報を掴んだ。そのあと私の携帯に学校のママ友から電話が来て「コロナがついに発生したわよ。気をつけて!」と、知らせてくれた。人づてに情報を聞いたレストランや店は慌ててその日の営業を終了したり、バスケの試合で集まっていた人々は感染を恐れて急いで家に帰ったりした。


その翌日から、島中みんながマスク着用。街は、コロナに備えて食料やマスクなどを買いだめする人々で混雑した。きっとこのころには既に感染者が一定数いて、知らない間に感染が広がったような気がする。市中感染の発生から最初の1-2週間で、感染者数は急速に拡大してピークに達した。従業員がコロナにかかって仕事に来られなくなり、店や銀行の営業に支障をきたした。私たちの周りでも、感染しなかった人のほうが珍しいぐらい、みんな感染したような印象だった。


学校も新学期早々にオンライン授業となり、この先どうなることやら、数ヶ月間はこのような状況のままなのかと思いきや、コロナ上陸から1ヵ月後には落ち着いて、新規感染者数もゼロや一桁に。国民のワクチン接種率が高かったことと、重症化しそうな人にはコロナ治療薬を処方できたので、重症化を抑え、第一波はうまく乗り越えられた模様。オミクロン株になるまで2年半鎖国して、その間に準備して島を守っていた甲斐はあったと思う。学校も9月中旬から通学が再開した。

学校も再開

政府が出していた、マスク着用義務も早くも解除。タクシーや飛行機の中など乗り物ではマスク着用とのことだけど、その他の場所は屋内・屋外、してもしなくてもいいことに。それぞれ会社・店・学校で独自にマスク着用ルールを設定することはできるとのこと。子供たちの学校では、屋外でも教室でもマスクしなくてOKになったので、もう外している生徒が多い。常夏でマスクは、暑くて本当に息苦しいから、大人もマスクを外している人が増えてきた。また第二波が来たら、状況をみて政府は再びマスク着用義務を発令する予定だそうで、ON/OFFの切り替えや、上陸前はあんなに怖がっていたのに、ウィズコロナの生活への適応が素早いなと驚くばかり。世界のコロナ対応の流れは今こんな感じで、日本人はむしろ切替できす慎重すぎてしまうのだろうか。


コロナが上陸して良かったこともあった。2020年3月から鎖国状態だったマーシャルの国境が2年半ぶりに、9月についにオープンした。もう隔離は不要!航空券を買って、ワクチン接種証明書があれば、いつでも入国できるようになった。出国しても確実に戻ってこられるようになったので、マーシャルから出国するマーシャル人が増えたように思う。