HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

コウ1才の誕生日会・ケーメン

バースデーケーキ

11月の日曜日、コウが1才の誕生日を迎えた。マーシャルでは1才の誕生日をケーメン(Kemmen)といい、特別盛大にお祝いをする習慣がある。裕福な家だと300人〜400人規模のパーティーをする人もいるし、庶民でも50人ぐらい当たり前。親は招待客分の食事を用意し、お土産の品も用意する。日本で例えるなら結婚式に近いレベル。コウは誕生日の2ヶ月ぐらい前から会社のマーシャル人に「ケーメンはいつ?」とよく聞かれた。「日本でケーメンするの?それともマーシャル?」と聞いてきた人もいて、マーシャル人の中には自分の故郷の島に帰ってお祝いをする人もいるので、その感覚で聞かれたようだ。私たち日本人の風習にケーメンはないのだけれど、マーシャル人は必ずするもの。私たちがケーメンをやらなければ、代わりにコウのケーメンを開催してくれるかもしれない。そうなるのも申し訳ないので、ハルカのときと同様に自分たちでケーメンをすることにした。

会場は我が家の庭。本当はレストランを貸切したほうがラクなのだが、会社のマーシャル人の中にはレストランだと堅苦しくて緊張する人もいるので、我が家の庭ほうがリラックスして楽しめるだろうと、家を会場にした。私の一番の大仕事は料理の準備。BBQ、まぐろ、ポテトサラダ、コールスローサラダ、グラタン、ちらし寿司10合、ご飯10合、大きなバースデーケーキを作った。あとはレストランから春巻き・ヤキソバ・えびフリッターをパーティーサイズでオーダー。品数だけでなく量も多いので、前日から料理の仕込みをしないと間に合わないのだが、木・金・土とケーメン前日までの3日間、発電所の故障で昼間はずっと停電 ...。停電するとパーティーの準備どころか、日常生活を送ることすら精一杯になる。前日の夜6時にようやく復旧したので、そこから急いでケーキを焼いたり料理の準備を始め、間に合わせることができた。
誕生日当日は停電もなく、雨が降ることもなく、無事に予定通り行うことができた。パーティーの2時間前にテニス仲間の日本人の数名がお手伝いに来てくれた。マーシャル人にもお手伝いを頼んでいたのだが、やはり時間通りには来ない…。お手伝いどころか、パーティーが始まってから来ていたし。こんなとき日本人助っ人は頼もしく、お手伝いしてくださり本当に助かった。

コウのケーメン(1才の誕生日会)には、日本人とマーシャル人、総勢50人ほどお祝いに集まってくださった。我が家の庭で食事をしながら、途中マーシャル人チームによるダンスと、ナオキくんのギター演奏が、コウのために披露された。素敵なダンスとギターに感謝!最後はマーシャル流にケーメンの締めくくり。ウクレレの演奏でマーシャルの歌をうたいながら、参加者全員が一人ずつコウにお祝いの言葉をかけて、1ドルを渡して握手をする。私はこれがケーメンで一番好き。この子が、みんなから人間社会に受け入れてもらう儀式のような感じで、その門出にたくさんのお祝いの言葉を一人ひとりから丁寧にかけてもらう。コウはたくさんの祝福を受けた。単純だけれど「こんなに祝福された子は、きっといい人生になるよ」と思えるのだ。お客さんを大勢お呼びして開催したコウのケーメン。「ケーメン、一体何のために、誰のためにやるんだろう」と前日の夜、準備が大変な中で頭をよぎったが、その答えは「コウがたくさんの祝福を受けるためにやる」だった。おそらくマーシャル人にはケーメンをやるか、やらないかという選択肢はない。当然やる、もの。世の中には、損得の計算は抜きにやるべきものがある。そのひとつがケーメンだった、と終わってから気がついた。ケーメン、やってよかった。お祝いにきてくださった方々、どうもありがとうございました!

↓会場の様子

↓マーシャル人チームによるダンス

↓一人ひとりからお祝いをしてもらう