HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

マーシャルの隔離施設で10日間を過ごす

2022年8月は、マーシャル政府は依然として厳しい入国制限を続けており、事前に政府から許可を得て隔離グループに登録された人のみ入国できるという規定だった。ワクチン接種証明、ハワイからマーシャルへ向かう飛行機に乗る72時間前のPCR検査陰性証明と、マーシャル政府指定の場所での12時間前の抗原検査で陰性結果がないと、飛行機に乗ることはできなかった。


私たちは無事に検査をクリアして2日遅れで飛行機に乗り、ハワイから隔離施設のあるマーシャル諸島のクワジェリン環礁に降り立つ。クワジェリンは米軍基地がある島で、通常は民間人が立ち入ることも、空港での写真撮影もできない島。米軍の協力のもと、マーシャル政府は海外からの入国者をここクワジェリン基地の宿泊施設で隔離し、完全に隔離が終了した段階で解放する、というやり方で、コロナの市中感染ゼロをこの2年半の間、キープしてきた。2022年の夏の時点で、コロナ市中感染がまだゼロの国は、世界でも残りわずかだったと思う。

隔離施設の部屋

クワジェリンに着くと、滑走路に待機していたバスに乗ってすぐ隔離施設へ向かい、割り当てられた部屋に入った。入国審査はなく、パスポートは見せなかった。これから1室に家族4人で10日間の隔離生活。シングルベッドが2台あるだけの部屋だったので、入室してすぐに追加でマットレスをもう一つもらった。これで家族4人が寝る場所が確保できた。部屋にある備品は、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ、扇風機、チェスト、クローゼット、マグカップが2つ。テレビは米軍向けチャンネルのAFNが流れている。あと、洗面所、トイレ、シャワーと、机といす一脚、バスタオルとハンドタオルが2組あった。ミネラルウォーターも支給された。湯沸かしポットはなかったので、折り畳み湯沸かしポットをスーツケースに入れてもってきた。これでお湯を沸かして、日本から持ってきたお茶を飲んだり、スープを飲むのに大変役立った。

開かない窓と机

部屋にある張り紙には、隔離施設での禁止事項が書いてあるだけ。禁酒、禁煙、ビートルナッツ禁止、体調が悪くなったらすぐに知らせること等。隔離中の生活についての細かい事は記載がないので、知りたいことはこちらから聞かないと教えてもらえなかった。ゴミはいつ出せばいいのか、牛乳がほしいけど買ってきてもらえるのか、バスタオルの交換はできるのか、外を散歩できるのはいつの日なのか等を、いちいち部屋から電話して係の人に聞いた。


部屋には窓があったけれど、窓にあたる潮風のせいで窓枠が錆びていて、開かずの窓…。窓にはブラインドがかかっていて外が見えないようになっているのだけど、このブラインドも壊れていて開けることができなかったので、適当なひもで何本かのブラインドを結んで、昼間は部屋から外の景色が見えて日光も入るようにした。そうでもしないと、24時間箱の中に閉じ込められているような感じで息苦しくなる。私は独房に入れられたら耐えられそうにないな、ということが分かった。

窓から外の景色が見たい


この宿泊施設は建物も設備も古いので、米軍は取り壊しをしたいそうなのだけど、マーシャル政府がお願いして隔離施設として延長して使わせてもらっていた。こうして私たちの10日間の隔離生活が始まった。当初は2週間の予定だった隔離が今回より10日間に短縮されたのは、ラッキーだった。