HERE COMES THE SUN

太平洋の南の島マーシャル諸島からの日記です

隔離中の生活

隔離中はインターネットが使えたので、家族で映画を観たり、持参した本を読んだりした。暇だとなぜだか眠くなり、夜は早く寝てしまい、私たちは普段以上に規則正しい生活をしていた。それに対し隣の部屋のマーシャル人家族は、完全に昼夜逆転生活になっていた様子。昼間は寝ているのかとても静かで、夜11時か12時頃から明け方まで子供が元気に歌を歌ったり、ドスンドスンと何かを叩く音が響いてきて、たまに起こされた。

国内線エアーマーシャル

先に隔離施設に滞在した人からの情報で、持ってきて良かったもの。それはA4の紙2枚とマスキングテープ。施設は古い建物なので、部屋ごとにエアコンの温度調整やOn・Offすらできず、部屋にはエアコンのスイッチ自体がない。フロントにあるスイッチ1つが建物全部屋のOn/Offスイッチだそう!だから各部屋は24時間エアコン強で、極寒状態。でも壁にあるエアコン吹き出し口を、紙とテープで塞げば大丈夫!吹き出し口部分を一部開けたり、閉じたりすることで、自分で部屋の温度を調整した。これがなかったら家族全員、寒くて風邪をひいていたと思う。

エアコン吹き出し口を紙で塞いで快適に

隔離中に支給される飲み物が水だけだったので、隔離2日目に何か他の飲み物も欲しくなった。小学生のコウは毎日牛乳を飲むので、牛乳が飲みたいという。そこで電話して、牛乳と炭酸飲料を買ってきてもらえないかお願いしてみた。看護師さんの手が空いたときに基地内のスーパーで買ってきてくれるらしい。

看護師さんから折り返し電話があり「買い物は何を買うの?バーガーキング?」と聞かれる。「いや、ミルクとスプライトだけお願いします。」と伝えて、買ってきてもらった。
3,4日で牛乳はなくなり、また買ってきてもらおうかと電話したら「買い物?バーガーキングか?」と言われる。なんで買い物といえばバーガーキングになるのだろう。いや、牛乳だけお願いしますと伝えたけれど、2度目の買い物は忙しかったのか、結局買いに行ってくれることはなかった。


一度は電話がかかってきて「バーガーキングを買いたい人がいてテイクアウト取りにいくけど、あなたたちも欲しいならオーダーすれば、一緒に取りに行ってあげるよ。」と親切に声をかけてくれた。どうやら、この隔離施設に入る人たちは、みんなバーガーキングを求めるのが定番らしい。ファーストフードのチェーン店はマジュロにはなく、基地内にしかないから、みんな食べたがるのかなあ。


隔離7日目のPCR検査で陰性になると、一日20分間の散歩の時間を与えられた。施設脇の小さい庭のような場所に出るだけなのだけど、それだけでも部屋に籠っていた私たちには外の空気が吸えて良い気分転換になった。

10日後に隔離は無事終了するも、終了日は日曜日でマジュロへ帰る国内線のフライトがないため、もう1泊することに。でも宿泊施設を追い出されることなく、そのまま泊まっていいと言われたので良かった。もし追い出されたら、重いスーツケースを持って船に乗り、基地の島を出て、隣のイバイ島のホテルに泊まらないといけないところだった。

11日目に隔離施設を出る日がきた。お世話してくれていた看護師さんたちは隔離施設を出ることを、Graduation(卒業)と言っていた。みんなお疲れ様!と同じ隔離グループの一同がロビーに集合し、スピーチがあったり、記念撮影をした。看護師さんたちは、明るくてフレンドリーな方々だったので安心できた。お世話になったお礼を伝えて、お別れ。

エアーマーシャルの機内。大きい方の飛行機に乗った。

その後、2時間半遅れで無事に国内線エアーマーシャルに乗りこみ、クワジェリンからマジュロへ移動した。日本を出てから15日後にようやくマーシャルの自宅に戻ってこれた。今回はいままでで一番長い日本からの道のりだった。

飛行機の窓から見える環礁